骨粗鬆症で一番大切なのは、「早期診断」「早期治療」

骨粗鬆症骨の量が減少し、骨折や身長の短縮を起こす病気が「骨粗鬆症」です。
超高齢化社会において寝たきりの要因になると言われていまが、その本質はあまり理解されていません。

そもそも骨はカルシウムと思われがちですが、カルシウムは骨の原料にしかすぎず、骨内に貯蔵されているだけです。不思議だと思われがちですが、実は骨内で活動する細胞が骨を作っています。なぜ骨と言えばカルシウムが連想されてしまうのでしょうか、これには歴史的な背景があります。

日本は戦後の栄養不良事情から骨の中からカルシウムが漏出する時代がありました。脱脂粉乳等でカルシウムを補充し、成長を支えた過去があるから、カルシウムが骨を作るイメージが根付いています。

しかし諸外国では、カルシウムは単なるサプリメントと思われています。
この話題が出ると患者さんには、「髪の毛はわかめが作っているのではなくて、毛母細胞が作っているのは理解できますよね」と喩えて説明しています。

骨の量は20歳頃まで増加して成人期に一番のピークを迎えます。
この若年成人のピークから3割以上骨量が減って、骨の構造が脆弱化して、骨折を起こしやすくなった状態を「骨粗鬆症」と定義します。骨は成人になり完成した状態になると、その後は不変のように思いがちですが、古くなった骨を壊す「破骨細胞」と新しい骨を作る「骨芽細胞」の働きによって新陳代謝されて生まれ変わっています。

女性は閉経後に、女性ホルモンの減少や遺伝的な素因により、「破骨細胞」の活動が有意になり、骨の貯金(骨量)が急激になくなります。そのために女性は男性よりも骨粗鬆症にかかる危険性が高いと言われています。

骨粗鬆症で一番大切なのは、「早期診断」「早期治療」です。

数ある病気の中でも骨粗鬆症は、早期治療が骨量損失を防ぎ、症状改善の実を結びやすい病気です。そのためにも女性の皆様には、閉経後から60代半ばまでには脊椎のX線検査と骨密度測定検査を受けて、骨の貯金(骨量)を確認しておくようにしましょう。次回は骨粗鬆症検査のポイントや治療について説明します。